俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 私、木名瀬(きなせ)瑠璃は大学を卒業後、ニューヨークに本社を置き、世界各国に展開しているリゾートホテル『シャインホテルズ』に入社して五年目になる。

 幼い頃から英会話を習っていて、英語は得意だった。大きくなるにつれてグローバルに活躍したくて、大学時代には中国語にフランス語を取得。ほかにも取れる資格には、果敢にチャレンジした。

 シャインホテルズに入社後は秘書課に配属された。一年間、日本本社で経験を積み、ニューヨーク本社に異動。
 海外は完全実力主義の世界。それが私にはとても合っていた。

 やり甲斐のある環境の中で私は仕事にまい進し、異動して二年目には社長秘書に抜擢された。

 五十五歳になる社長、東雲(しののめ)幸雄(ゆきお)は日本人で、奥様がアメリカ人。そして奥様の父親が我が社の会長を務めている。一社員だった東雲社長は会長に実力を認められ、さらには十五歳下の奥様と恋に落ち、十年前に結婚したようだ。

 東雲社長の手腕は素晴らしく、会長も名ばかりで、早々と安心して会社を任せて隠居生活を楽しんでいるとか。

 でも会長の気持ちが痛いほどわかる。だって東雲社長は仕事ができるだけではない。人間性も素晴らしいから。
< 6 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop