俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「源君、副社長の秘書職に就きたいの？　そのために私を誘って弱みを握ろうとした？　……もしかして社内で広まった噂も源君が？」

　恐る恐る問うと、私を見て嘲笑った。

「本当にさすがですよ、木名瀬さん。そんなことまでわかっちゃいました？　……そうですよ、目的のためには木名瀬さんが邪魔なので、消えてもらいたいんです。そのために好意あるフリをして近づきました。どうにか弱みを握って脅そうと思って」

　あっさり認めた源君に、愕然となる。
　細川さんと私の予想は見事に的中していたわけだ。だけどどうして？

「人を陥れて目標とする仕事に就けたって、虚しいだけだと思うけど。それはあなたの実力じゃないのよ？」

　もちろんそれだけやり甲斐があり、魅力的な立場になれると思う。しかしそこまでいくのに、卑怯な手を使ってそれで満足できるの？　胸を張って仕事に当たれる？

「源君なら自分の実力で上にいけるはず」

　仕事にはいつも真面目に取り組んでいるし、周囲からの評判もいい。なにより秘書に向いていると思う。
　会社だって初めて秘書課に男性を配置した。それはきっと源君に期待しているからだと思うから。
< 76 / 157 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop