俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「もしかして木名瀬さん、僕の最終目標が副社長の秘書だと勘違いしていませんか?」

「えっ?」
 どういう意味? 違うの?
 困惑する私を見てせせら笑う。

「そんなわけないじゃないですか。……あくまで通過点に過ぎませんよ。だけどそのためには木名瀬さんが邪魔なんです」

 そう言うと源君は勢いよく私の腕を掴んだ。

「きゃっ!?」

 声を上げたものの、すぐに反対の手で口を塞がれてしまう。

「今日はもうオフィスには誰も戻ってきません。本当にいいタイミングで立ち寄ってくれました」

「んんっ」

 口を塞がれていて、大きな声を出したくても出せない。

 ここは会社だし、なにかあってもすぐ助けを呼べば大丈夫だと高を括っていた。でもこうされては助けさえ呼べないし、逃げようとしても私の力じゃ叶わない。

 ふと、副社長に言われた言葉が頭をよぎる。

 本当に女の私では、どんなにがんばっても男の人の力には勝てないんだ。

「どうして僕が、洗いざらいすべて吐いたかわかりますか? 今ここで木名瀬さんの恥ずかしい写真を撮るためですよ。それですべて僕の指示する通りに動いてもらいますから」

 そのまま引きずられ、奥へと連れていかれる。
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