俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
「話しはあとで聞くから。……もう少しだけ瑠璃ちゃんのことを甘やかさせて」

「……っ」

 いいのかな、本当に甘えちゃっても。
 躊躇っていると、副社長は私の背中を撫でたまま付け足した。

「人に迷惑をかけたくないって気持ちが強いところも、甘え下手なところも、瑠璃ちゃんのかわいいところでもあるけど、こうして甘えさせたいって思っている人がいることを忘れないで。……もっと周りに甘えていいんだよ。特に俺にはね」

 頭をポンポンされて、いろいろな感情が込み上がる。

 恐怖の中で、無意識に私は副社長に助けを求めていた。彼のことしか頭に思い浮かばなかった。副社長なら助けてくれる、心のどこかでそう思っていたのかもしれない。

 いいかな、今だけは甘えても。だって私のことを助けてくれた副社長の胸の中は、こんなにも温かいから。副社長にだけは甘えたい。

 いつの間にか零れ落ちた涙。大きな背中に腕を回し、よりいっそう彼のぬくもりに包まれた。
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