俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 昼休みになり、副社長に外に出ることを伝えて細川さんと向かった先は、この間と同じオープンカフェ。
 今回も彼女オススメの料理を注文し、食前に頼んだアイス珈琲を飲みながら、昨日の出来事を報告した。

 真剣に話を聞いてくれていた細川さんの表情は、次第に険しさを増していき、すべて話し終えると絶句した。

「信じられない。源君ってば、爽やかな顔には似つかわしくない腹黒外道野郎だったなんて」

 腹黒外道……。汚い言葉ながら、妙に納得してしまった。

「まぁ、その通りかもしれないわね。今朝も普通に挨拶をされたし」

「なにを呑気に言ってるの? あなた、もう少しで襲われるところだったのよ? 普通はもっと怒り狂うところでしょ!!」

 怒りを鎮めるように一気にアイス珈琲を飲むと、再び私に鋭い目を向けた。

「そもそも木名瀬さんは、なんでもひとりでやろうとしすぎなのよ! 私と一緒に戦っていれば、そんな怖い思いをしなくても済んだのに。私の忠告をちゃんと聞かないのが悪いのよ」

 文句を言われても、それは彼女の優しさだと伝わってくる。

 本当に副社長の言う通りだ。私はもっと周りに甘えるべきだった。こうして心配してくれる人がいるのだから。
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