俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 パソコン画面を見ているようだけど、自分を見られているようで落ち着かない。
 それでもどうにか平静を装い、資料を見つけると副社長は申し訳なさそうに言った。

「あー、さっそくごめんね。余計な仕事を増やしちゃって。向こうが明日しか空いていないって言うから」

「いいえ、そんな」

 そうなのだ、明日の会食は副社長が取り付けたもの。

「とびっきり料理がうまいところを頼むよ。なんせ今後なにかと付き合っていきたい相手だからさ」

「わかりました」

 そう言われては、相手方に喜んでもらえる場所を予約しなくては。
 よりいっそう気合いを入れたものの、資料は渡したのにいまだに自室に戻らない副社長に戸惑う。

「あの、副社長?」

「んー、どうしたの?」

「どうしたのではありません。資料はお渡ししましたし、お部屋にお戻りください」

 早く離れてほしくて振り返り見ると、予想以上に距離が近くて目を剥く。
 だけどすぐにある異変に気づいた。

「副社長? 少し顔が赤くありませんか?」

「それはこんな至近距離で瑠璃ちゃんに見つめられたら、誰だって顔も赤くなるでしょ」
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