俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 隣から視線を感じて居たたまれなくなる。でも本当にこのままじゃ帰れないよ。

「私は副社長の秘書です。……副社長こそ私に甘えてください」

 体調が悪い時くらい自分のことを優先してほしい。無理しないでほしい。
 その思いで言うと、急に副社長は私の肩に寄り掛かった。

「じゃあ遠慮なく甘えさせてもらう」

 そのまま力なく私の膝に頭を乗せて横になる。

「ふ、副社長!?」

 たしかに甘えてくださいとは言ったけれど……!
 膝に圧かる彼の重みを感じ、頭の中はパニック状態。だけど苦しそうに肩を上下させ顔を覆う姿に、あたふたしている場合じゃないと言い聞かせた。

「大丈夫ですか?」

「ちょっと座っているのもしんどかったんだ。少し膝を貸して」

「……はい」

 そんな弱った姿を見せられたら、だめとは言えない。少しでも楽な姿勢になってほしいもの。

「少し急ぎますね」

「お願いします」

 副社長の様子を見て高瀬さんは少しスピードをあげた。

「瑠璃ちゃん」

「はい、なんでしょうか」

 私の名前を呼ぶと、顔を覆っていた手を退けた。そして下から優しい瞳を向けられ、ドキッとしてしまう。
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