全てを失っても手に入れたい女がいる 2

早く部屋に入れと、急ぎ立てられる様に高城に尻を叩かれながら、自分の部屋へと戻った。

「直ぐに温かいお飲み物をお持ちしますから、大人しくお待ち下さいませ!」と言う高城。
だが、そこで大人しく待っているなどとは言わないのが俺だ。

「あーそれなら、魁斗と暖め合うから、なにもいらないよ?」

「いいえ!! 何もしないで、ジッとお待ち下さいませ! 魁斗様もです!!」

高城はそう言うと急ぎ部屋を出て言った。

「マジやり過ぎだって! マジ寒っ」と、魁斗は震えているが、「俺は、良いもの観れたわ」と涼夜は、裸のままでほくそ笑んでいる。

「そりゃー良かったな?」 と言って (クッシュン!)とクシャミをする魁斗。

「おい、俺に風邪移すなよ!?」

「だ、誰のせいだよ!? 」(クッシュン!)

「大きなパーティーの前に風邪なんて、気が緩み過ぎだ! 体調管理はちゃんとしとけよ!」

「あのな…」

涼夜の馬鹿騒ぎに付き合わされたあげく、体調管理がなってないと叱責までされ様とは思いもせず、言葉を失う魁斗だった。

「それから今日、会社に顔出せって言われてるから、魁斗ひとりで会ってくれる?」

「えっ!? 俺ひとりかよ?」

「勿論、ケツのチェック忘れるなよ?」

最近、俺の仕事を邪魔しようとしてる者がいる。勿論、相手は誰だか判ってるが、あまり気分の良いもんじゃない。
自分の部屋でさえ、毎日盗聴器のチェックはしてる。
昨夜も2つみつけた。

今日も、大きなプロジェクトの為に、大事なスポンサーに会う予定だったが、急に親父の会社へ来いと呼び出された。
多分、最近の俺の動きから何かを察知し、今日の俺の動きを封じるつもりでいるのだろう。

前にも似たような事があった。プロジェクト自体は小さかったが、契約書にサインするその日、全く同じ内容で同じコンセプトの物を彼奴が発表した。

何処からか情報が漏れていたのか…

それ以来、俺は神経を尖らせている。




< 10 / 41 >

この作品をシェア

pagetop