全てを失っても手に入れたい女がいる 2
「あ、高城お早う チュッ!」
惨憺たる思いに頭を抱える高城に対して涼夜は、まるで投げキッスでもする様に挨拶をする。
「…毎度毎度、おふたりは…裸で何をなさっておられるのですか!?」
涼夜は、魁斗を一緒に連れて帰った際、父親には勿論、高城や屋敷の者達にも、自分の秘書であり恋人だと紹介していた。
「ナニって…セックス?
あー男同士のセックスって…高城知らないかぁ?
高城は詳しく知りたい?
なんなら、今夜から高城も仲間に入る?
3Pは初めてだけど良いかもな?
もしかしたら、高城も良さに目覚めちゃうかもよ?」
と、言う涼夜に対して、高城は既にコメカミに青筋を立てながらも、自分の立場から必死に怒りを抑えている。
「・・・ア゛ もう、私《わたくし》は何も聞きとう御座いません!
奥様が生きておいででしたら、どんなにショックを受け、嘆き悲しんだ事か…
私はどこで、おぼっちゃまの教育を間違えてしまったのでしょう…!?」と、高城は嘆く。
「教育って…俺、子供の頃はずっとフランスのお堅い寄宿学校に入れられてたし、一時期日本に帰って来たけど、またすぐにフランスに帰っただろ?
だから、高城が気をやむ事なんて無いんじゃない?」
「いいえ!
長年続いた黒羽家が、ぼっちゃまの代で終わってしまう様な事があっては、あの世で先代になんとお詫びすれば良いやら…」
嘆き悲しむ高城をよそに、涼夜はクスクスと笑い、魁斗もまた、笑いを堪えてる。
「そんなに難しく考えなくても良いだろ?
俺は、愛のある結婚をしたいだけなんだから?
その相手が、男だろうと女だろうと関係ない。
後継者の事だけなら、どっかからか養子貰えば良い事だろ?
まぁ、一番良いのは、魁斗が産めれば良いんだよな?
やっぱり産む時は、このケツから産むのかな?
アハハハ…」
涼夜は魁斗の尻を叩いて笑う。
「お、お二人共、お食事のご用意が出来ておりますので!」(バッタン!)
涼夜の悪ふざけに、機嫌を悪くした高城は青筋を立てたまま部屋を出て行った。