全てを失っても手に入れたい女がいる 2
世界でも名高い高級ブランド店と肩を並べるblackbirdは、店も高級ブランドが建ち並ぶ大通りに構えている。
一方の涼夜の店Angel kissは、その大通りから一本中に入った民家も建ち並ぶ小さな通りにあり、店舗の大きさも雅のblackbirdに比べると半分以下の小さな店である。
それでも、それなりに人気はある。
1階は店舗で、店員は涼夜が可愛がってる売れないモデルの男の子を数十名雇っている。
そして2階は、涼夜のアトリエ兼、事務所になっているのだが、今日は週末のせいもあり、店舗内は勿論店舗前も涼夜のファンの子で溢れ通行の妨げになっているとかで、近所からクレームの電話が鳴り止まなく、涼夜は朝からイライラして、デザイン画は一つも上がっていない。
「クッソー、こううるさくちゃ仕事になんないだろ!
魁斗、飲みに行くぞ!」
「何言っての? お前ね、M & Mのジャケット衣装もまだでしょ?
耳栓でもして仕事しなさい!」
「今晩、家に帰ったらやるって?」
「絶対だな? じゃ、約束破ったら?」
「約束破ったら…俺のケツお前に貸してやる?」
「いらねぇーわ!
何が悲しくて、涼夜《お前》のケツ借りなきゃなんないんだよ!?
俺は、絶対、胸の大きい、ボンキュッポンが良いのよ!」
「じゃ、その為にはどうしたら良いかわかるよな?」と、聞く涼夜に対して、魁斗は「探すしかない?かぁ…」とこうべをたらす。
その夜、二人は少し離れた繁華街へ足お運び、一晩中ひとりの女性の行方を探した。
ある店ではお金を握らせ、ある店では下半身を触らせ、お金と身体を使って必死に探した。
「涼夜、今夜はこの店が最後だからな?はぁ…」
涼夜に苦言を刺す魁斗だが、既に酔っ払ってしまっている涼夜を見て、もう既に後悔してる魁斗だった。
「分かってるって!
帰ったらちゃんと仕事やりゃー良いんだろ…?」
と言う涼夜に、魁斗は無理だろと思いながらも、「頼むよ?」と言う。
そして、涼夜は魁斗に支えられながら、タクシーを降りた。