全てを失っても手に入れたい女がいる 2

今日もなんの情報も無しか…
何処に居るんだ…

「ほら、涼夜、水を飲め!」

魁斗が水を飲ませようとするが、涼夜はそれを手で払いのける。

「水は良い!
仕事するからコーヒーをポットで持って来てくれ!」

いつになったら見つかるんだ…

俺のエンジェル…
マリー…君は何処に居る…
君の瞳はいまなにを見てる…

僕のエンジェル…
マリー…僕のこの腕の中へ飛んでおいで…
そして、僕の腕の中でおねむり…

マリー…僕のエンジェル…

君に教えてあげるよ?
笑顔だけでは幸せになれない事を
可愛い可愛い僕のエンジェル…

「…涼夜?」

「あ… 悪い…夢中になってた」

手元のスケッチブックを魁斗へと渡す。
すると魁斗は俺の描いたデッサンを見て、満足顔で頷きながら、俺の肩を叩く。

「ホント、お前は凄いな?
どんなに疲れてようが、どんなに酔ってようが、仕事だけは穴開けないよな?」

「俺はプロだ!当然だろ?」

「そうだな?
じゃ、俺はメンバーに連絡入れに行って来る。
お前は先にシャワー浴びて寝ろ?」

「ああ、頼む」

俺がデザインを仕上げれば、後はパタンナーの小関の仕事だ。と言っても、俺の手から離れた訳ではない。
パタンナーである小関がパターン(型紙)を起こし、布を裁断するのだが、その時点で、最初に用意していた布地がイメージと違えば、生地を選び直す事も多々ある。

ああ…疲れた…
今回は変更無しで行けると思うが…

窓の外を覗けば、月が出ていた。

なぁお月様?
俺の探してるマリーちゃんは
何処に居るんだろうね?

俺のエンジェルは…
どこに隠れてるのかな?




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