策士な課長と秘めてる彼女
「ありがとうございます。このご恩はきっと・・・」

「そんなことはいい。親代わり、いや祖父がわりとして言っておくが、日葵ちゃんを不幸にすることは絶対に許さない。この際、きちんと話してきなさい。位置情報が変わったらその都度連絡するから」

長門は陽生と連絡先を交換すると、微笑みながら仕事に戻っていった。

日葵の居場所はわかった。

海に飛び込むなんて馬鹿なことは考えないと思うが、最悪の事態を想像して陽生の顔が苦痛で歪む。

警察犬がきっかけで逮捕された犯人が、逆恨みでその飼い主を襲うことも過去にはあったらしい。

だから日葵にもGPSを持たせていると長門は言った。

゛GPSまでは頭が回らなかった゛

結婚できることに浮かれて、例えストーカーと思われようとも最善策をとるという考えに至らなかった自分を陽生は呪った。

「待ってろよ、日葵」

その頃、

水族館のお土産店で、チョコレートの箱を見つめていた日葵は、謎の寒気で身体を震わせていたが、気のせいだろうと、数個の箱を手に取り、レジに向かって歩いていた。
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