策士な課長と秘めてる彼女
「昨日、秘書課の御姉様方に呼び出され、本当に陽生さんのことが好きなのか?そんないい加減な気持ちで結婚するのか?槙さんの気持ちを考えたら掌を返したように課長と結婚できるはずはない、というようなことを言われました。」
陽生は頷きながら、日葵の言葉を遮ることなく聞いていた。
「槙さんと陽生さんが付き合っていたわけではないと周囲の人から聞いてはいたので疑ってはいませんでしたが、付き合って一週間やそこらで結婚を決めても良いのか、自分の中でも葛藤があったのは事実です」
膝を抱えそこに顎を乗せた状態で、日葵はチラリと陽生を見た。
「その後、取引先の印刷所に出かけようとしたのですが、エレベーターが来なくて非常階段を使ったんです。そこで陽生さんと槙さんが話しているのを偶然立ち聞きしてしまったんです」
真実を見抜こうと、日葵の綺麗な瞳が光る。
「槙さんは、私との結婚を妥協と表現しました。そして陽生さんもそれを否定しなかった。だから私は気づいてしまったんです。都合のいい私は利用されただけなんだと」
「違う!」
「いいえ、違いません。最初はそう思っていなかったとしても、心の奥底で陽生さんはこの状況を利用しようと考えていたから槙さんの言葉を否定しなかった・・・。理由はわかりませんが、社長から槙さんとの結婚を打診され、どうにかして断りたかっただけなのでしょう?」
「社長から槙との結婚を打診されたタイミングより、俺が日葵にアプローチしたタイミングの方が先だ。言葉が足りなかったことは謝る。俺は日葵が入社してきた時から好きだった。ずっとお前だけを見つめていたんだ」
日葵はその言葉を聞いてもまだ半信半疑だったが、遮らずに陽生の言葉を待とう思った。
「七歳も年上の男が彼氏持ちの部下に片想いしてたなんて気持ち悪いだろう?そんなプライドが邪魔をして、俺はずっと、いもしない日葵の彼氏に嫉妬して、遠慮して、あきらめようと何度も思ったができなかったんだ」
陽生はそっと、日葵の頬に手をあてる。
「こうして触れてみたい、俺を見て欲しい、どんなに願っても日葵は手に入らない」
日葵は自分がそこまで思われているとは考えてもいなかった。
「唯一お前と仲がいい花菱が育休明けで復帰したのを最後のチャンスと思い、日葵の周辺を探ってもらった。そうしているうちに、彼氏の存在に疑問を抱き始めたから、悠馬にも裏工作をしてもらって日葵に俺の取材をさせ、二人で会う機会を作ったんだ」
陽生は頷きながら、日葵の言葉を遮ることなく聞いていた。
「槙さんと陽生さんが付き合っていたわけではないと周囲の人から聞いてはいたので疑ってはいませんでしたが、付き合って一週間やそこらで結婚を決めても良いのか、自分の中でも葛藤があったのは事実です」
膝を抱えそこに顎を乗せた状態で、日葵はチラリと陽生を見た。
「その後、取引先の印刷所に出かけようとしたのですが、エレベーターが来なくて非常階段を使ったんです。そこで陽生さんと槙さんが話しているのを偶然立ち聞きしてしまったんです」
真実を見抜こうと、日葵の綺麗な瞳が光る。
「槙さんは、私との結婚を妥協と表現しました。そして陽生さんもそれを否定しなかった。だから私は気づいてしまったんです。都合のいい私は利用されただけなんだと」
「違う!」
「いいえ、違いません。最初はそう思っていなかったとしても、心の奥底で陽生さんはこの状況を利用しようと考えていたから槙さんの言葉を否定しなかった・・・。理由はわかりませんが、社長から槙さんとの結婚を打診され、どうにかして断りたかっただけなのでしょう?」
「社長から槙との結婚を打診されたタイミングより、俺が日葵にアプローチしたタイミングの方が先だ。言葉が足りなかったことは謝る。俺は日葵が入社してきた時から好きだった。ずっとお前だけを見つめていたんだ」
日葵はその言葉を聞いてもまだ半信半疑だったが、遮らずに陽生の言葉を待とう思った。
「七歳も年上の男が彼氏持ちの部下に片想いしてたなんて気持ち悪いだろう?そんなプライドが邪魔をして、俺はずっと、いもしない日葵の彼氏に嫉妬して、遠慮して、あきらめようと何度も思ったができなかったんだ」
陽生はそっと、日葵の頬に手をあてる。
「こうして触れてみたい、俺を見て欲しい、どんなに願っても日葵は手に入らない」
日葵は自分がそこまで思われているとは考えてもいなかった。
「唯一お前と仲がいい花菱が育休明けで復帰したのを最後のチャンスと思い、日葵の周辺を探ってもらった。そうしているうちに、彼氏の存在に疑問を抱き始めたから、悠馬にも裏工作をしてもらって日葵に俺の取材をさせ、二人で会う機会を作ったんだ」