策士な課長と秘めてる彼女
陽生は、水族館で急遽買ってきたというドルフィンリングを日葵の左手の薬指に差し込んだ。

イルカは愛と平和の象徴。

イルカは、そのコミュニケーション能力の高さから円満な恋愛や人間関係の象徴だとされている。

寄り添いあって語り合って、そんな仲睦まじい夫婦になりたい、

と陽生は言ってくれた。

コミュニケーション能力の乏しい、女性としての魅力もない日葵をここまで愛してくれる人がこの先現れるだろうか?

答えはノーだ、と日葵は心から思った。

「私、陽生さんのお嫁さんになりたい」

ようやく聞けた日葵の心からの返事。

陽生は心から満足していた。

初めからストレートに想いを告げれば良かったのだろうか?

いや、あのときの陽生の最善は、やはりあの策だった。

結果、日葵を傷つけ悩ませたが、陽生はやはり、これまでの自分にはエールを贈りたい。

゛よくやった、俺゛

抱き締める日葵の体の柔らかさを満喫しながら、陽生は自画自賛しつつ、厄介な槙と社長を凝らしめる策を頭に浮かべるのだった。

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