策士な課長と秘めてる彼女
「じゃあ、柊くんが待ってますので、これでお開きにしましょう。真島カチョー、本日はありがとうございました!」

敬礼の姿勢で真島に挨拶をする日葵は、少し酔ってはいるものの足取りはしっかりしていた。

「陽生って言っただろ?」

真島は、日葵の手から伝票を奪うと、素早く会計を済ませてしまった。

「陽生さん!ここは私が・・・」

「部下に払わせるような無粋なことはしない」

「カチョー、今、陽生と呼べと、おもいっきりプライベートモードでしたよね」

返事をしない真島の腕にぶら下がり、日葵はイヤイヤと首を振る。

「それより、お前の彼氏は酔った彼女を迎えにも来ないのか?」

怒ったような口ぶりの真島は日葵をいつものように睨み付けてきた。

「それは無理でしょー」

「何が無理なんだ。男なら当然だろ?」

「イヤイヤそんな柊くん想像しただけで笑っちゃう・・・」

心底おかしそうな日葵は、ダメンズに心の底からかぶれてしまっているな、と真島は思った。

「家まで送る」

「いや、まだ早いですから大丈夫です」

「乗れ」

真島は呼んでいたらしいタクシーに日葵を押し込むと、自らもタクシーに乗り込んできた。

「どちらまで?」

タクシーの運転手の問いに、真島がジロリと日葵を睨む。

「えっと・・・浜砂町3丁目まで」

有無を言わせぬ真島の雰囲気に、日葵はすっかり巻き込まれていた。

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