策士な課長と秘めてる彼女
ホテルに缶詰めにされた金曜日をやり過ごし、日葵と陽生は現在、宿泊しているホテルで真島家と蒼井家の顔合わせの時を待っていた。
警察に事情を話し、両家の顔合わせは、警察が準備してくれたこのホテルで行うことにした。
もちろん、両家の両親と日葵の祖父母には柊が襲われたことは内緒にしている。
「待ち合わせは12時だったな。30分前にはフロントに行こう」
日葵は陽生と連れだってフロントまえのティーラウンジに赴いた。
「陽くん、こんなところで何してるのよ」
二人が腰かけているテーブル席に近づいて来た女性と初老の男性。
それは、橋満槙とその父親である橋満社長だった。
「上司に有給休暇を取らせたあげくに、いいように引っ張り回して、真面目な社員だと思ってたのにがっかりだわ、蒼井さん」
槙のバカにしたような言葉に、日葵は言い返すことができなかった。
槙の言っていることは間違いではない。
結果的に陽生を休ませ、同じ時間を過ごしていたのだから。
「槙、俺は自分の意志で有給休暇をとった。日葵に頼まれたからではない。必要な段取りは踏んでいる。手続き上の問題はないはずだ」
俯く日葵を励ますように陽生は言った。
警察に事情を話し、両家の顔合わせは、警察が準備してくれたこのホテルで行うことにした。
もちろん、両家の両親と日葵の祖父母には柊が襲われたことは内緒にしている。
「待ち合わせは12時だったな。30分前にはフロントに行こう」
日葵は陽生と連れだってフロントまえのティーラウンジに赴いた。
「陽くん、こんなところで何してるのよ」
二人が腰かけているテーブル席に近づいて来た女性と初老の男性。
それは、橋満槙とその父親である橋満社長だった。
「上司に有給休暇を取らせたあげくに、いいように引っ張り回して、真面目な社員だと思ってたのにがっかりだわ、蒼井さん」
槙のバカにしたような言葉に、日葵は言い返すことができなかった。
槙の言っていることは間違いではない。
結果的に陽生を休ませ、同じ時間を過ごしていたのだから。
「槙、俺は自分の意志で有給休暇をとった。日葵に頼まれたからではない。必要な段取りは踏んでいる。手続き上の問題はないはずだ」
俯く日葵を励ますように陽生は言った。