策士な課長と秘めてる彼女
「ま、槙、お前はなんてことを・・・」

青褪める橋満社長のことを陽生は無視して続けた。

「槙は別に俺のことを好きなわけではない。見かけと将来性を見込んで、取り入ろうとしただけだ。だが、一向に相手にしない俺に腹を立て、部長や課長に取り入って、ことごとく槙にとって目障りな女子社員たちを排除してきた」

初めから陽生を眼中にいれていなかった日葵は、運良くそのターゲットから外されていたようだ。

「男を体でたぶらかし、将来社長婦人になった時には便宜をはかると唆して懐柔してきた。だが、お前が最後に手を出した相手が悪かったな。あの人は裏社会と繋がってる。あの人の女としてもう逃げられないだろう」

橋満社長はもちろん、その男の事は知っていた。

だからこそ、その男の会社に手助けをしてもらうことは最後まで躊躇してきたのだ。

この間の接待だって、向こうから言い寄ってきたため無下にすることができずに対応したまでだ。

現に、持ちかけられた取引には応じてはいないのだ。

「え?聞いてない。たまたま飲み屋で話しかけられて、大手の社長で色々と協力してくれるっていうから・・・」

さすがの槙も、裏社会に通じる人間と聞いて、青くなって震え始めた。

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