策士な課長と秘めてる彼女
「橋満社長、私はこれまで会社のために懸命に仕事に取り組んできました。それは社長になるためでも、槙と結婚するためでもありません」
「それはわかっているよ。だが、私としては君と槙に会社を継いでもらって私の引退後も発展させていってくれればいいと考えていただけなんだ」
橋満社長は、陽生に対し、心の底から申し訳なさそうに言った。
「社長を信頼していたからこその忠誠でしたが、日葵とその知人、家族である警察犬にまで手を出した槙を許せない。もちろんそれに気付かず放置してきたあなたも同罪だ」
力なく頭を垂れる橋満社長をさらに追い詰めるように
「今の話は本当かね?」
と、ラウンジに今まで聞こえなかった低音ボイスが響いた。
話に集中しすぎて気づかなかったが、後方には真島孝明と真佐子夫妻が、険しい顔をして立っていた。
「た、孝明、これはだな・・・」
「お前の娘が俺の息子の可愛い婚約者に何かしたらしいな。今聞いた事が本当なら、私にも考えがある」
「お、叔父様。全部嘘よ。陽くんはその女に騙されて根も葉もないことを信じさせられてるの。ずっと私のこと可愛がってくれてたでしょ?槙のこと信じてくれるわよね?」
橋満社長と孝明は従兄弟だ。
槙と陽生は再従兄妹になる。
不動産をあちこちに有する真島家は、H県でも有数な地主。
Hashimitsuの入るビルも、真島家の所有する貸ビルだ。
「た、頼む。今回だけは見逃して欲しい。貸ビルの契約を絶たれたら、Hashimitsuは立ちいかなくなる」
「あの悪評高い谷部凛太郎が関わっているのだろう?もうHashimitsuは買収されるか、潰されるかのどっちかだろうな」
先日、日葵が会った森の熊さんのような穏やかな孝明ではない。
非情な経営者の顔に日葵は驚いていた。
「それはわかっているよ。だが、私としては君と槙に会社を継いでもらって私の引退後も発展させていってくれればいいと考えていただけなんだ」
橋満社長は、陽生に対し、心の底から申し訳なさそうに言った。
「社長を信頼していたからこその忠誠でしたが、日葵とその知人、家族である警察犬にまで手を出した槙を許せない。もちろんそれに気付かず放置してきたあなたも同罪だ」
力なく頭を垂れる橋満社長をさらに追い詰めるように
「今の話は本当かね?」
と、ラウンジに今まで聞こえなかった低音ボイスが響いた。
話に集中しすぎて気づかなかったが、後方には真島孝明と真佐子夫妻が、険しい顔をして立っていた。
「た、孝明、これはだな・・・」
「お前の娘が俺の息子の可愛い婚約者に何かしたらしいな。今聞いた事が本当なら、私にも考えがある」
「お、叔父様。全部嘘よ。陽くんはその女に騙されて根も葉もないことを信じさせられてるの。ずっと私のこと可愛がってくれてたでしょ?槙のこと信じてくれるわよね?」
橋満社長と孝明は従兄弟だ。
槙と陽生は再従兄妹になる。
不動産をあちこちに有する真島家は、H県でも有数な地主。
Hashimitsuの入るビルも、真島家の所有する貸ビルだ。
「た、頼む。今回だけは見逃して欲しい。貸ビルの契約を絶たれたら、Hashimitsuは立ちいかなくなる」
「あの悪評高い谷部凛太郎が関わっているのだろう?もうHashimitsuは買収されるか、潰されるかのどっちかだろうな」
先日、日葵が会った森の熊さんのような穏やかな孝明ではない。
非情な経営者の顔に日葵は驚いていた。