策士な課長と秘めてる彼女
「蘭さんと三石主任は今後どうされるのですか?」

「ああ、引き継ぎが済んだらヘッドハンティングされた会社に移るつもりだ」

「私もよ」

日葵の質問に答えた二人は、あっけらかんとそう言った。

二人は主任という立場上、抱えている仕事も多い。

日葵と違って、有給休暇消化とはいかないようだ。

だが、もう再就職先が決まっているとはさすがだ。

「これまでお世話になりました。もう会えなくなると思うと寂しいです」

「日葵はフリーでデザインの仕事をするんでしょ?今後も仕事で会えるかもしれないじゃない」

蘭の言葉が日葵を励ますためのものということはわかっているが、その気持ちが嬉しかった。

「そうですね」

「そうだよ。不思議と蒼井とは縁が切れるとは思えないな」

悠馬の思いやりも嬉しかった。

日葵はデスクの片付けをすると、荷物を持って、Hashimitsuを後にした。
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