策士な課長と秘めてる彼女
柊の肩のガーゼは取れていたが、代わりに傷を舐めないためのエリザベスカラーが首に付けられていた。

メガホンの口のような大きな輪っかが顔に向かって広がっている。

柊は不服そうに足で首を掻こうとしているが 、うまくいかずにクルクルその場を回っていた。

「か、可愛い」

日葵は思わず柊に駆け寄って、スマホで写真に納めた。

「あと一週間はこのままにしておいて下さい。来週傷を確認したらカラーは外します」

「わかりました」

日葵を見て嬉しそうに尻尾を振る柊が愛しくて仕方がない。

警察犬オタクと言われて、これまで自己評価の低かった日葵だったが、陽生に女性としても受け入れて貰えたことで自信がついていた。

誰に恥じることもない。自分がやりたいことをやる。

日葵は柊と共に、前を向いて堂々と歩き出した。
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