策士な課長と秘めてる彼女
翌朝の臨海公園。

4月の朝7時はまだ薄暗いが、ジョギングやウォーキング、釣りをする人がチラホラ見える。

日葵は、柊と並んでいつものように浜辺を歩いていた。

水平線から昇る朝陽は幻想的で美しい。

「ねえ、見て。柊くん、お日さま綺麗だね」

日葵に寄り添うように並んで歩く柊もどこか嬉しそうだ。

日葵が浜辺に腰を下ろすと、並んで柊も腰を下ろす。

ぼんやりと朝陽と寄せる波を見つめていると、日葵は

゛幸せだなあ゛

と感じずにいられない。

思わず目を閉じて、日葵が波の音に耳を傾けたその時、

穏やかな静寂を切り裂いたのは、

普段聞けないレアボイスを、昨夜たらふく聞かせてくれたあの人だった。
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