策士な課長と秘めてる彼女
「へえ、いい家だな」

「ありがとう、ございます・・・」

「庭もきれいだ」

庭には八重桜が見頃を迎え、日葵が植えたチューリップやブルーのネモフィラ、色とりどりのアネモネが咲き誇っていた。

「よかったらお茶をいれますよ。こちらへどうぞ」

日葵はやんわりと陽生の腕を解くと、庭をのぞむダイニングの椅子に陽生を誘導した。

「あれからどうした?」

「あれから?」

コーヒーを煎れる手をやすめて、日葵は考えを巡らせ、朝の散歩の後のことを言われているのだなと気づいた。

「シャワーを浴びて、朝食を作って、それから・・・」

「・・・寝てたな」

「・・・はい」

日葵の格好を見れば一目瞭然だろうに、わざわざ聞いてくる陽生は意地悪だな、と日葵はむくれた。
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