策士な課長と秘めてる彼女
「失礼しました。私は陽生の母親で真佐子といいます。どうぞ、お上がり下さい」

真佐子はそう言うと、陽生と日葵、柊を自宅内に案内した。

正面の門を潜ってから、一体何坪あるのかと驚いたほど広い敷地だったが、室内も同様の奥深さだった。

20畳ほどのリビングに辿り着くまでに、かなりの距離の廊下を移動し、日葵は驚いた。

さらに驚くことに、リビングには、しくしくと涙を流す10歳くらいの男の子がいた。

男の子は、陽生を見つけると

「兄さん、僕のせいなんだ。毬ちゃんがいなくなったのは」

顔をグシャグシャにして陽生にすがり付く少年は、どうやら陽生の弟らしい。

そしていなくなったのは、どういう関係かはわからないが女の子らしき毬ちゃん。

どういった理由でここに呼ばれたのか、日葵はようやく合点がいった。
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