策士な課長と秘めてる彼女
真島家は広い。

合計200坪の敷地は、警察犬訓練所をしていた蒼井家よりも広い。

建物は100坪。

家を囲む塀には厳重なセキュリティがかけられ侵入者は許さないようになっている。

そのため、真島家は就寝前まで窓を開け放っていることがあり、ウサギの毬ちゃんがゲージの外に出てしまったら、広大な敷地と建物の中を探すのは至難の技なのである。

つい数ヵ月前も一度毬ちゃんが逃げ出し、家族総出で捜索させられたことがあったと陽生が言った。

「お任せください。敷地の外に出ていないなら柊くんが数分で見つけてくれますよ」

日葵は、柊を連れて、案内された毬ちゃんのゲージに近づく。

日葵は柊に毬ちゃんの匂いを嗅ぐように命令した。

そして捜索の指示を出す。

リードに繋がれた柊は、ゆっくりと匂いをかぎながら、日葵を目的地まで誘導した。

毬ちゃんは、台所の隣の野菜倉庫にいた。

人参の匂いに引き寄せられたのか、人参が入っている箱の横に丸まって眠っていたのだ。

その所要時間1分。

呆気ない捕り物劇だったが、真佐子は何度も何度も日葵にお礼を言って喜んでくれた。

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