策士な課長と秘めてる彼女
恋愛と呼べるものを何回か経験したことはある。

しかし、自分からアプローチしたことは一度もなく、付き合った相手にもそこまで感情移入することができずに自然と別れる流れを繰り返してきた。

年も重ねてきて大人になった陽生は、恋愛よりも仕事の方が楽しくなり、いつの間にか周囲の女子に怖がられる存在になっていた。

仕事に集中するあまり、目付きが悪くなっていたらしい。

恋が始まる予感に心を弾ませていた陽生とは裏腹に、日葵が陽生に近づいてくることはなかった。

隣の広報企画部に配属された日葵とは、驚くほど接点が持てず、束縛彼氏の噂も相まって・・・。

以下省略、あとは前述の通りである。

実家に帰り、毬ちゃんを見る度に、手の届かない日葵を思ってイライラが募る。

毬ちゃんを抱き上げたところで、所詮はウサギ。本物の日葵ではないため心は満たされない。

そんな想いを経て、今は目の前に日葵がいる。

手を伸ばせば触れられる。

その感動の事実にふけって、陽生はそっと日葵の頭を撫で続けた。
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