策士な課長と秘めてる彼女
「だから、ごめんって。わざとじゃないって言ってるだろ?」

ソファで膝を抱えて丸くなり膨れる日葵の隣で、陽生が宥める。

時計はもう1時を指しており、土曜でなかったら明日は寝不足で仕事にならないところだ。

「日葵、髪乾かせ。自分でしないなら俺がするぞ?」

そっぽを向く日葵もレアで可愛いから、陽生は宥めながらもこのままにさせたい気持ちもあった。

ドライヤーを脱衣場から持ってきた陽生は、日葵の許可もとらずに日葵の髪を乾かし始める。

猫毛なのか、柔らかくてフワフワな日葵の髪。

触り心地が良く、いつまでも触っていられそうだ。

無表情な中でもご機嫌に日葵の髪を乾かす陽生を思いっきり振り返って日葵は言った。

「女性慣れした陽生さんには私の裸なんてどうってことないでしょうけど、私は男性に裸を見られるなんてこと初めてなんです。そんな風に普通にしているなんてできない・・!」

「女慣れ・・・?普通にしてるだと?」

ドライヤーを止めた陽生の目付きが怖い。

少し言い過ぎたかな・・・、と日葵が戸惑っていると、陽生が背中側から日葵を抱き締めてきた。
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