策士な課長と秘めてる彼女
「俺はそんなにたくさんの女と付き合った経験はない。それに3年前からは仕事一筋だ」

抱き締める陽生の厚い胸板を背中で感じて、日葵はドキドキしていた。

「好きな女と一つ屋根の下にいて、謀らずも裸を目にして動揺しない男がいると思うか?」

「・・・好きな女?」

「ああ、俺は3年前に初めて会ったときから日葵が好きだ」

驚いて振り返った日葵を見つめる陽生の瞳は真剣だ。

「動物オタクの面白くない女なのに?」

「誰がそんなこと言ったんだ?動物好きの優しい女の子の間違いだろ」

陽生の言葉に、日葵の目から涙が溢れる。

「ああ、そんなガキの言葉に惑わされたお陰で、日葵の男を見る目が厳しくなったんだな。まあ、その点は感謝しないでもないが・・・」

ナデナデと日葵の頭を撫でる陽生の瞳は優しい。

「日葵、俺を信じろ。俺はそのままの日葵がいいんだ」

涙が溢れて堪らない日葵は、陽生の方に向き合うと、陽生の広い胸に抱きつき、顔を埋めて泣いた。
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