策士な課長と秘めてる彼女
「落ち着いたか?」

「はい」

泣き止んだ日葵は、急に自分が陽生に抱きついていた現状に気付き恥ずかしくなって離れようとした。

「何もしないから今日は一緒に日葵の部屋で寝よう」

「一緒に?」

「ああ、日葵は俺のことどう思ってる?嫌い?」

「嫌い、じゃありません。むしろ・・・」

「むしろ?」

「好き?」

「ハハッ、疑問系なんだ」

苦笑した陽生に慌てて、日葵が訂正する。

「いえ、好きです。陽生さんのこと、大好きです」

「なら、俺達、このまま付き合うってことでいいか?」

「えっ?付き合うって・・・」

「反論は許さない。嫌っていうならこのまま襲ってわからせてもいいんだけど」

耳を甘噛みしてきた陽生に驚いて、

「付き合います!だからそんなに急がないで・・・」

慌てる日葵に

「いい子だ」

と、陽生が不敵に微笑む。

その後、陽生は日葵を抱き上げると日葵の部屋に向かって歩き始めた。

つい数時間前にそうしたように、ゆっくりと日葵を降ろすと、今度は、日葵の横に寝そべって日葵を抱き込む。

そして布団を被ると

「おやすみ、日葵」

と言って、陽生は日葵のこめかみに口付けを落としリモコンで室内灯の明かりを落とし瞼を閉じた。
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