策士な課長と秘めてる彼女
真島が案内してくれたのは、駅近の和食居酒屋だった。

財布の中身が・・・と考えていた日葵は、何とか予算内に収まりそうだと内心ホッとしていた。

場所を決めたのは真島とはいえ、取材をお願いしたのは日葵である。

ここは接待と称して、真島にご馳走するのが筋だろうと日葵は考えていた。

幸い、日葵は実家暮らし。家賃もいらないから結構お金は貯まる。

もしかしてホテルのイタリアンとかだったら困るからとATMに寄ってお金をおろしてきたのだが、取り越し苦労だったようだ。

「ここでいいか?」

「はい。ここの串盛が大好きなんです」

めったに外食はしない日葵だが、年1,2回は友人に誘われて一緒に飲みに来ることがある。

いわば数少ない日葵の行きつけといったところだ。

「知ってる・・・」

「えっ?」

ボソッと呟いた真島の言葉は、騒がしい団体客の声で聞こえなかった。
< 7 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop