策士な課長と秘めてる彼女
「いらっしゃい」

並んでソファに座っていた日葵の祖父と父親が、ゆっくりと立ち上がって真島に頭を下げた。

「突然お邪魔して申し訳ありません。日葵さんとお付き合いさせていただいています。真島陽生と申します」

陽生は柊のリードを持ったまま、深々とお辞儀を返した。

「まあ、何てハンサムな男性かしら。あなたが日葵ちゃんの旦那様ね。お会いできてうれしいわ」

微笑む祖母・日南子の中では、日葵はすでに結婚しているような認識になっているようだ。

「陽生さん、とってもフレンチトーストが好きなの。おばあちゃんのフレンチトーストを食べさせたくて連れてきたんだよ」

「まあ、嬉しい。新しいお客様をおもてなししないとね。張り切ってお料理させて頂くわ。ねえ、あなた」

「そうだな」

日葵の祖父・冬彦に語りかける姿はまるで新婚のようで微笑ましい。

目を細めて日南子を見つめる冬彦も嬉しそう。

日葵は心底、陽生をここに連れてきて良かったと感じていた。
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