策士な課長と秘めてる彼女
「同じ部屋って・・・」

「あら、だって今も同棲しているんでしょう?今さらじゃない」

「日葵もいい年だ。こんなにしっかりした方なら何も問題はない。結婚前提のお付き合いをしているんだろう。今後の話し合いもあるし泊まって行きなさい」

父の言葉に、日葵は目眩がした。

確かに陽生と思いを伝えあったし、キスもした。

だが、まだ仲良くなったと言っても所詮は一週間程度の付き合いだ。

それがどうして結婚という話になっているのだろうか?

あまりの展開に、日葵の頭はついていけなかった。

「私の両親も弟も二人の結婚に大賛成だと言ってくれています」

「まあ、まあ、結婚式にはうんとお洒落して参列しないとね」

「そうだな。私も日南子の着物姿が楽しみだよ」

自分達が結婚するかのように喜ぶ祖父母に、まさか゛そんな予定はありません゛と今さら言えない。

日葵は恨めしそうな目で陽生を睨んだが、陽生は日葵に微笑みかけるだけで、全く動じていなかった。
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