策士な課長と秘めてる彼女
しかし、そこでも陽生は読みを誤った。

翌朝、陽生が急いで職場に出勤し、日葵の出社を待ちわびていると、呑気に現れた悠馬がとんでもないことを告げた。

「おはよう、真島。今日から4日間、蒼井が有給休暇で寂しいだろう。良く許したな」

と、笑いながら・・・。

「有休?何のことだ」

「昨日、終業後に急ぎの仕事を終わらせたらしくてさ。使ってない有給休暇を消化したいがいいかって連絡があったんだ。入社以来、一度も有休使ってないから、蒼井に休み取らせろって俺も上からやいのやいの言われててさ。助かったよ」

気楽な言いぐさの悠馬に陽生は腹が立ったが今はそれどころではない。

「で、どこで何をするって?」

「一緒に住んでるのに聞いてないのか?俺が知るわけないだろ?」

役に立たない悠馬に陽生は舌打ちをする。

実は今朝、陽生は高梨警察犬訓練所に行って、所長に柊のことを聞いてきた。

柊は警察犬の仕事に駆り出されているらしく、最低でも五日は蒼井家に帰らないだろうと、所長は言っていた。

それならば、今、日葵は一人だということだ。

いや、陽生の知らない誰かといるのかもしれない。

陽生は、続いて出社してきた蘭を捕まえた。

藁にもすがる思いとはこの事である。

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