クールなオオカミの過剰な溺愛
「どうだろうな」
「梅雨って本当に嫌い。
湿気で髪の毛ボサボサになるし」
肩にかかるくらいの髪は、この時期になると必ずひとつに束ねる。
そうしないと髪がボサボサになってしまうのだ。
「女って大変だな」
「絶対思ってないよね」
短髪である煌哉に私の気持ちはわからないだろう。
「まあ髪束ねてる千紗も俺は好きだけど」
「そうやっていつも上手いこと言う」
自分が不利になれば“好き”とか“かわいい”なんて言って、誤魔化してくる煌哉。
こんなイケメンに褒められると、さすがの私も騙されそうになる。
けれど自分の容姿が“かわいい”とは程遠いのは自覚済み。
そのため彼の言葉に喜ぶことは決してしない。