クールなオオカミの過剰な溺愛
「ほら、諦めろよ」
簡単に腕を掴まれて逃げることが不可能になってしまった。
「は、離して…!」
「今日の千紗、いつもと違う」
そんなの当たり前じゃないか。
昨日煌哉が好きだと言ったりキスしてきたり、いつもと違うことをしてきたのだわから。
「なに、じゃあ昨日のことはなかったことにしていいの?」
「……昨日のことじゃなくて」
そこまで言いかけたところで、煌哉の指が私の目尻に触れた。
「化粧してる。
雰囲気変わるな」
それから私の顔を覗き込むように見てくるから、自然とふたりの距離が近くなって。
咄嗟に顔を背けた。
昨日のことが脳裏をよぎり、それだけで鼓動が速まるのがわかる。