クールなオオカミの過剰な溺愛
「……ん、行くぞ」
明らかな作り笑いをしたというのに、煌哉は満足そうに笑って歩き出してしまう。
もちろん手は繋がれていない。
私が大人しくついていくことにしたからだ。
「なんなのもう…」
本当にツイていない。
煌哉は私なんかよりずっと先を読んでいるし。
「全部丸聞こえだぞ」
「聞こえるように言ってるんです!」
「意外ときついんだな、千紗って」
「煌哉が強引に進めるから…!」
私だってこんな言い合いというか、きつく当たりたくない。
けれど当たるようなことを煌哉がするから悪いのだ。
「嫌ってことか?」
「も、も、もちろん…!」
一瞬戸惑ってしまったのが悪かった。
煌哉は悪そうな笑みを浮かべてきて。