クールなオオカミの過剰な溺愛



「なんだよ今の返事」
「か、噛んだだけ!」

「そんなこと言って、実は意識してくれてるのか?
珍しく化粧なんかしてるし」

「これはただ息抜きに…」


だんだんと苦し紛れの嘘へと変わり、煌哉から視線をそらしてしまう。


「俺を避けるために早く起きたくせに、その上化粧までする意味あったのか?」

「……っ」

「そうだな、例えば…昨日のことを思い出して寝れなかった、とか?」


その口ぶりからして絶対的な自信があり、確信している様子。

昨日のことが原因で眠れなかった私は、寝不足の顔を隠すようにして化粧をしたということまで全部。


「千紗はわかりやすいからな」


「……っ、そ、そうだよ!悪い!?煌哉が昨日変なことするからまったく眠れなくてひどい顔してたの!

もう全部煌哉のせいだから!
それで化粧で隠したの!煌哉の馬鹿野郎ー!」


もはやヤケクソになる他なかった。

私が叫んだことにより驚いた道行く人たちは、一斉に私たちのほうを見てきた。

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