クールなオオカミの過剰な溺愛



もちろんこれがどれだけ恥ずかしい行為か。
わかっているけれど仕方がない。

ただまだ朝が早いため、人通りが少ないから救われた。



「……ふはっ」
「……っ」

少し間が空いた後、堪え切れなくなったのか煌哉が肩を震わせながら笑い出してしまう。


「ほんっとにかわいいんだな、千紗って」
「……え」

バカにされると思ったけれど、煌哉の口からは『かわいい』という言葉が放たれた。


これはある意味バカにしているということだろうか。


「もう色々と限界なんだけど。
俺をどうしたいわけ?」

「ど、どうって…黙っててほしい」
「なんでそうなるんだよ」


だって本当のことだ。
いつも通りクールで素っ気ない煌哉に戻ってほしい。

こんな彼を私は見たことがないのだ。

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