クールなオオカミの過剰な溺愛
「いつもの煌哉に戻ってよ…」
「千紗だっていつも通りじゃねぇからな」
「そんなのわかってる、けど」
「もっと俺のこと意識すればいい」
なんて、私と逆のことを言ってくる煌哉。
「なあ千紗」
「…………」
わざと煌哉から顔を背ける。
今彼を見てしまえばいけない気がして。
「ちーさ」
「そ、その呼び方なんなの…!?」
いつのまに“かわいいギャップ”を習得したのだ。
このままでは最強になってしまう。
煌哉がクールな姿を崩した時、多くの女子が心を射抜かれることだろう。
「千紗が無視するから、こう呼んだら反応してくれるかなって」
本当に確信犯のズルイ男だ。
女子の扱いにも慣れていそうである。
そもそも昨日のキスだって自然な流れだったし、そのせいで私は反応できなくて───