クールなオオカミの過剰な溺愛
「……慣れてる」
「千紗?」
「煌哉、絶対昨日のキスが初めてじゃないよね?」
あれが初めてだとしたら逆に天才だ。
あんな自然で手慣れたキス、初めてなわけがない。
率直に質問すれば、煌哉は一瞬気まずそうな顔をした。
「ほら、やっぱり…!」
煌哉の恋人事情など知らないため、この際聞いてやろうと思った。
「何人と付き合ったことあるの?」
「……一応ゼロ」
「一応って?
嘘ついたら嫌いになるからね!」
何か含みのある言い方。
濁されたらたまるか、と思った私は脅しをかける。
「まあ、曖昧な関係だったっていうか」
「曖昧…?」
「ほら、類は友を呼ぶって言うから。
不良グループの中にいる女と軽く関係持った程度」
少し言いにくそうにする煌哉。
見るからに、そのことをなかったことにしたい様子。