クールなオオカミの過剰な溺愛
「千紗が勝手にそう思ってるだけなのに」
「どういうこと?」
「なんでもねぇよ、行くぞ」
なんだか煌哉が不満気な顔をするからわざわざ聞いたというのに、なんでもないのひと言で終わらされてしまった。
彼はあまり感情を表に出さないため、わかりにくい。
私の前ではまだ豊かなほうだと言われるけれど、それでもポーカーフェイスに近いと思う。
「待ってよ、歩くの早いから!」
煌哉は中学の時からさらに身長が伸び、モデルでもやってるんじゃないかって思うほどである。
高身長なのだから歩幅も違うため、速く歩かれると追いつくのに一苦労だ。
未だに伸び続ける彼は、一体いつ成長が止まるのだろうか。
彼自身、身体測定の後は毎回嬉しそうに報告しにくる。
この間は『180センチを超えた』と言われたけれど、私はどう反応したらいいのかわからず。
『良かったね』のひと言で終わらせれば、不機嫌になってしまった記憶があった。