クールなオオカミの過剰な溺愛
「せっかくだし今日は中庭でご飯ね!
ほら行くよ」
「待って、すぐ準備する!」
凛花に急かされた私は慌てて鞄からランチボックスを取ろうとしたけれど、ないことに気がついた。
「……あれ」
「千紗?どうしたの?」
もしかして家に忘れたのだろうか。
私は朝の出来事を思い返す。
確か朝起きた後、私はお母さんに化粧を頼んで───
「……あ」
思い出した。
私はお弁当を作らなくていい代わりに化粧をしてほしいと頼んだのだ。
それからお父さんからもお昼代をもらっている。
つまり購買に行かなければならない。
「ごめん凛花、私今日お弁当ないんだった。
購買行ってくる!」
「そうなの?
あっ、でもちょうどいいかも」
「ちょうどいい?」
「私、昼休みの間に職員室来るよう先生に言われてるの。食べ終わってから行こうと思ったけど先に行ってくる」
凛花の言葉に私は頷き、中庭で合流することになった。