クールなオオカミの過剰な溺愛
凛花もまだ来そうにないため、とりあえずその場を去ろうと思っていたら───
「どうしてフラれるってわかっていながら告白してくるんだろうね。面倒くさい」
「……へ」
思わず手で口元を覆う。
もしかして、私の存在がバレている?
とはいえ物音など立てていない。
きっとバレていないはずだと思い、その場でじっとするけれど。
「そもそも“好き”なんて感情、必要だと思う?」
やっぱり誰かに質問している。
さらに足音はだんだんと近づいてきて。
「ねぇ夏原さん、どうして無視するの?」
いつのまにかすぐそばに来た彼が、私を視界に捉えて優しく微笑んだ。
けれどその笑みは明らかな作り笑いで少し怖い。