クールなオオカミの過剰な溺愛
「そんなの水瀬くんなんか興味なかったから…!
でも今は腹が立ちすぎて忘れられそうにないから!」
このまま性格の悪い部分をみんなにバレてしまえ、と思い勝ち誇ったように笑ってみせたけれど。
水瀬くんはクスクスと笑いだしてしまう。
「……何よ」
「いや、かわいいなぁって」
さらにはスッと顔を近づけてくるため、反射的に背けてしまった。
「あれ、背けられちゃった」
これは反射だ。
別にキスされると思ったわけではない。
ただ煌哉とのキスを思い出し、警戒しただけである。
「……離れて、ください」
「俺さ、夏原さんが女子の中で一番嫌いなんだよね」
「……え」
思わず顔を上げる。
地味に目立たないよう生きてきたつもりが、今水瀬くんにはっきりと『一番嫌い』だと言われたからだ。