クールなオオカミの過剰な溺愛
「それでムキになって転んだりするなよ」
「そこまでドジじゃないから!」
煌哉は案外心配性だ。
朝が弱い私が原因なのかもしれないけれど、今のように気にかけてくれる。
「千紗は突然転びそうだからな。
手でもつなぐか?」
「つなぎません、バカなこと言わないでよ。
女子の嫉妬なんて買いたくないからね」
今のところ体育館裏に呼び出されたり、女子からいじめを受けるなどといった漫画のようなことは起きていないけれど、人気者の煌哉のことだ。
いつ周りの女子から嫉妬心をぶつけられるかわからない。
「大丈夫、千紗は俺が守る」
「自分の身は自分で守るんで大丈夫です」
もし煌哉に守られたとして、さらに嫉妬が悪化するような気がする。
それだと悪循環だ。
高校生活は中学同様平和に終わりたい。