クールなオオカミの過剰な溺愛



「さーて、ここまで俺のこと知ったわけだしどうしようか」

「ど、どうしようか…とは?」
「口止め料、いる?」


思わず首を横に振る。
お金をもらうほど性格の悪い人間ではない。


「ははっ、だろうね。
でも夏原さんは黙っててくれるの?」

「黙ってるも何も、私が言ったところで信じるのは煌哉と凛花くらいだろうし……」

「へぇ、煌哉に絶対的な信頼を寄せてるみたいだね。
さすがは幼なじみ」

「煌哉とは幼なじみじゃない」
「それでも幼なじみみたいな関係だね」


優しさのかけらもない水瀬くんは、断定的な言い方をしてくる。

どうせならこんな水瀬くんを知りたくなかった。


「そういえば、煌哉との友情は成立した?」
「えっ…」

「ほら、男女の友情は成立しないって言うから、ふたりはどうなのかなって」


面白いものを見るように、目を細めて笑う水瀬くんに私は何も返すことができなかった。

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