クールなオオカミの過剰な溺愛
「どうせ幸せにはなれないんだから」
なぜだか諦めたような水瀬くんの表情に、どこか闇を感じてしまう。
そのため反応に困る私の身にもなってほしい。
気まずくなった私は水瀬くんから目を逸らすと、彼がゆっくりと立ち上がった。
「ほら、何ぼーっとしてんの」
「……えっ」
「教室戻るんだよ」
その様子から見て私が立ち上がるのを待ってくれているらしいけれど。
その視線は冷たく、態度の急変に頭が追いつかない。
「いや、あの…私は凛花を待ってて」
「ふーん…」
感情のこもっていない返事をしたかと思うと、ふと水瀬くんが校舎の中に視線を向けた。
「あっ、ちょうど来たよ。
津山さん」
「えっ、本当!?」
助かったと思った。
これでこの状況から救われると。