クールなオオカミの過剰な溺愛
「……いった」
「ふざけないでよ!
人のこと弄んで楽しい!?
本当に最低!二度と話しかけてこないで!」
ショックでならない。
どうせなら、何も知らないままでいたかった。
ひどい、ひどすぎる。
どうしてこんな目に遭わなければならないのだ。
ジワリと目に涙が浮かぶ中、また何度も唇を擦る。
そうでもしないと心が落ち着きそうにない。
「あっ、千紗いた!
ごめん遅くなっ…」
「……凛花ごめん、トイレ行ってくる」
「えっ、千紗!?」
少し歩いたところでこちらに向かう凛花と会ったのだが、顔を合わせずにトイレへと駆け込んだ私。
とにかくひとりになりたかった。
「……はぁ」
涙をグッと堪えながらも、これからどうしていいのかわからずに混乱していた私。
こうしている間にも、今までの日常が大きく変わろうとしていた。