クールなオオカミの過剰な溺愛
甘さに変えて
午後の授業もまったく身に入らなかった。
そんなの当たり前だ。
視線の先には何もなかったかのように、席へと座る水瀬くんがいた。
もう視界にも入れたくない。
私はこんなにも最悪な気分だというのに、当の本人はにこにこ笑顔でクラスメイトと平気で話していた。
「あーっ、最悪だもう!」
5限目に行われた英語のテストが放課後のホームルームで、担任経由で返ってきたけれど。
せっかく煌哉が教えてくれたというのに、理解したはずの内容が昨日今日で吹っ飛んでしまった。
思わず叫ばずにはいられない。
「……千紗」
私の反応を見て何かを察したのだろう、後ろから声をかけられてしまう。
できればスルーしてほしかったため、ギクリと肩が跳ねてしまった。