クールなオオカミの過剰な溺愛
「……戻ろう」
あまり水瀬くんのことは考えないようにしようと決めた私は、煌哉の待つ教室へと戻る。
「あっ、いつもの千紗だ」
なんて、教室に戻るなり煌哉にそう声をかけられた。
「やっぱり慣れない化粧をするものじゃないね。
泣いたせいで余計ブサイクになっちゃったし」
「まあ確かに千紗はかわいくなろうとしなくていいと思うけどな」
「……それは褒めてるの?」
今の言葉、あまり褒められたような気がしない。
「だってそうだろ?今よりかわいくなったところで千紗に堕ちる男が増えるだけだし」
「ま、待って…どうしてそうなるの!」
私に堕ちる男とか、悪趣味にもほどがある。
つまり煌哉も趣味の悪い男なのだ。