クールなオオカミの過剰な溺愛
「なあ、千紗」
「……何?」
「水瀬にキスされたのは嫌だったんだよな?
その反応からして」
「当たり前でしょ!
思い出したくもない…」
さっき泣いたおかげか、もう今はイライラする感情しか湧いてこない。
「じゃあさ、俺は?」
「……え」
「俺も昨日、千紗に許可なくキスしたけど」
「そ、それは…」
言われてみればそうだ。
昨日煌哉にキスされた時は泣くほど怒りなど湧かなかった。
むしろ恥ずかしくて顔が熱くなり、胸がドキドキしてたまらなくなっていた。
それは相手が煌哉だから?
それとも煌哉なりの優しさを感じられたからだろうか。
煌哉はまだ私の反応を見てくれていた気がする。
とはいえ付き合ってもない相手にキスされるのは良くないけれど。